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Sikerpekina
シケㇾペキナ
ヒメザゼンソウ
Himezazensô (Symplocarpus nipponicus Makino)
注)版権は、アイヌ語ペンクラブにあります。
注)1. 赤字は、アイヌ語です。
2. 赤字のイタリック文字は、日本語です。相当することばが、アイヌ語にありませんでした。
3. 山形記号「^」は、日本語の長母音を示しています。
4. 緑字は、エスペラント(語)です。
Sikerpekina tane sisam itak ani "himezazensô (Symplocarpus nipponicus Makino)" sekor a=ye p ne ruwe ne.
シケㇾペキナ タネ シサㇺ イタㇰ アニ 「ヒメザゼンソウ (Symplocarpus nipponicus Makino)」 セコㇿ ア・イェ ㇷ゚ ネ ルウェ ネ。
シケレぺキナは、今では日本語で「ヒメザゼンソウ(Symplocarpus nipponicus Makino)」と呼ばれています。
La planto sikerpekina nun estas nomita "himezazensô (Symplocarpus
nipponicus Makino)" en la japana lingvo.
Néwaanpe a=e ka ki, ani tuy kikir a=sanke ka ki ruwe ne.
ネワアンペ ア・エ カ キ、 アニ トゥイ キキㇼ ア・サンケ カ キ ルウェ ネ。
食べたり、虫下しに用いました。
Oni manĝas ĝin aŭ forigas vermon per ĝi.
Bachera (Batchelor), TIRI Masiho nuye hi ene an i; sikerpekina "zazensô (Symplocarpus renifolius Schott ex Miq)" sekor a=ye ham ne ruwe ne.
バチェラー、 知里真志保 ヌイェ ヒ エネ アニ; シケㇾペキナ 「ザゼンソウ(Symplocarpus renifolius Schott ex Miq)」 セコㇿ ア・イェ ハㇺ ネ ルウェ ネ。
バチェラーや知里真志保によると、「ザセンソウ(Symplocarpus renifolius Schott ex Miq)」の茎葉としています。
Batchelor, TIRI Masiho (prononcu: ĉiri maŝiho) skribas jene: La planto
sikerpekina estas tigo kaj folio de "zazensô (Symplocarpus renifolius
Schott ex Miq)".
"Himezazensô" anak "zazensô" neno an korka ponno pon.
「ヒメザセンソウ」 アナㇰ 「ザゼンソウ」 ネノ アン コㇿカ ポンノ ポン。
「ヒメザセンソウ」は、「ザセンソウ」に似ていますが、やや小さく、
"Himezazensô" estas simila al "zazensô", sed iom malgranda.
Aynumosir, (Tyûgoku-tihô wano cupka ta an) Honsyû, Tyôsen-hokubu or ta an nitay sam ta neya, ru teksam ta neya an yaci ka us pe ne.
アイヌモシㇼ、(中国地方 ワノ チュㇷ゚カ タ アン) 本州、 朝鮮北部 オッタ アン ニタイ サㇺ タ ネヤ、 ル テㇰサㇺ タ ネヤ アン
ヤチ カ ウㇱ ペ ネ。
北海道、本州(中国地方以東)、朝鮮北部の林の淵や道の端の湿地に生えています。
En la japana norda insulo Hokkajdo (Ajnumosir), la orienta regiono de Tyûgoku-ĉihô
en la japana ĉefa insulo Honsjû kaj la norda regiono de Koreio ĝi elkreskas
en malsaka tereno ĉe fino de arbaro aŭ vojo.
Toytum un sinrici takne wa, hamu 10-20 cm pakno tuk.
トイトゥㇺ ウン シンリチ タㇰネ ワ、 ハム 10-20 cm パㇰノ トゥㇰ。
地下には短い根茎があります。 葉は10~20cmまで伸びます。
Sub la tero troviĝas la malgranda radiko. La folio kreskas ĝis 10-20cm.
Si-maw-ta-cup (iwan cup) ta nonno hecirasa.
シ-マウ-タ-チュㇷ゚ (イワン チュㇷ゚) タ ノンノ ヘチラサ。
6月に花が咲きます。
En junio ĝi floras.
KAWAKAMI Matuko katkemat ene hawean i; "Sikerpekina anak tópen tópen sekor a=yep
ne wa, tópenpe néno mismu=an hi ta ponno a=kuykuy patek ki p ne wa, satharu
ne a=kar yakka, 'haru' sekor a=ye hi ka isam sekor ku=yaynu.
川上まつ子 カッケマッ エネ ハウェ-アニ: 「シケㇾペキナ アナㇰ トペン トペン セコㇿ ア・イェㇷ゚ ネ ワ、 トペンペ ネノ ミㇱム・アン
ヒ タ ポンノ ア・クイクイ パテㇰ キ ㇷ゚ ネ ワ、 サッハル ネ ア・カㇻ ヤッカ、 『ハル』 セコㇿ ア・イェ ヒ カ イサㇺ セコㇿ
ク・ヤイヌ。
川上まつ子さんは以下のように言っています: 「シケレぺキナは、トペントペンって言って、おやつみたいに退屈な時、なんぼかかじっているだけのもので、サッハルも、あんまりハルのうちにも入らないんでないかい。
S-ino KAWAKAMI Matuko (prononcu: macuko): "Oni manĝas la planton "sikerpekina"
kaj diras, ke tio estas dolĉa, dolĉa. Kiam oni enuas, iom nur mordas ĝin
kiel dolĉaĵo.
Tutko rerko siran kor pirkano a=satke ruwe ne.
トゥッコ レㇾコ シラン コㇿ ピㇼカノ ア・サッケ ルウェ ネ。
二、三日でカラカラになるんでないの。
Post du aŭ tri tagoj ĝi estas tute saka.
Oar sat hi 'satno' sekor a=ye.
オアㇻ サッ ヒ 『サッノ』 セコㇿ ア・イェ。
すっかり干せたことがサッノ。
Oni nomas esti tute saka 'satno'.
Satno kor pon saranip or a=omare wa horikasi a=atte wa anu.
サッノ コㇿ ポン サラニㇷ゚ オㇿ ア・オマレ ワ ホリカシ ア・アッテ ワ アヌ。
サッノせば、今度、小さい袋に入れて上から掛けておく。
Oni faras 'satno'-n, enmetas ĝin en saketon, kaj pendigas ĝin de supero.
Eun a=uyna wa a=e."
エウン ア・ウイナ ワ ア・エ。
そこから取って食べる。」
『川上まつ子の伝承ー植物編1-』 (財)アイヌ民族博物館 1999年 (財)アイヌ民族博物館 p.61
Oni prenas ĝin de tie kaj manĝas.
"Kikigaki Aynu no Syokuzi" or ta Sutnay (Sizunai) or ta ene suke=an hi a=nuye wa an; a=suwe wa nani a=e kor, earkinne siw
pe ne korka, oya kotan ta paye=an wa a=e yakun, humne eytasa siw, humne
somo siw nankor.
「聞き書 アイヌの食事」 オッタ スッナイ (静内) オッタ エネ スケ・アン ヒ ア・ヌイェ ワ アン: ア・スウェ ワ ナニ ア・エ コㇿ、
エアㇻキンネ シウ ペ ネ コㇿカ、 オヤ コタン タ パイェ・アン ワ ア・エ ヤクン、 フㇺネ エイタサ シウ、 フㇺネ ソモ シウ ナンコㇿ。
「聞き書 アイヌの食事」には、静内での料理のことが書かれています。ゆでた直後のひめざぜんそうは、非常に苦いが、その苦さは土地によって異なるといいます。
En la libro "Kikigaki Aynu no Syokuzi" oni skribas, kiel en la
urbeto Sutnay (Sizunai) oni kuriras; tuj post kiam oni boligas himezazensô-on,
ĝi estas tre maldolĉa. Laŭ la loko la maldolĉo estas malsama.
A=sakanke wa a=satke wa anu. Orowano, a=e hi ta anakne, ru popke wakka or a=omare wa hawkeno a=suwe. Ohonno an kor, oro sato a=omare pekor tópen ruwe ne.
ア・サカンケ ワ ア・サッケ ワ アヌ。オロワノ、 ア・エ ヒ タ アナㇰネ、 ル ポㇷ゚ケ ワッカ オㇿ ア・オマレ ワ ハウケノ ア・スウェ。
オホンノ アン コㇿ、 オロ 砂糖 ア・オマレ ペコㇿ トペン ルウェ ネ。
ゆでて乾燥し保存しておいたものを、ぬるま湯にもどし、弱火で長時間煮込むことによって、砂糖を加えたように甘くなります。
Oni boligas ĝin, sekigas kaj konservas. Kaj oni metas ĝin en varmeta akvo,
boliĝas ĝin en malforta fajro longatempe, tiel fariĝas dolĉa kiel aldono de
sukero.
Patci or ta néwaanpe a=anu wa, kasi sum a=usi.
パッチ オㇿ タ ネワアンペ ア・アヌ ワ、 カシ スㇺ ア・ウシ。
器に盛り付けたヒメザセンソウの上に脂をのせて、
Oni metas oleon sur himezazensô metita en teleron.
Kamuynomi=an hi ta néno a=kar ka ki, ora, ouse ipe ne a=e ka ki ruwe ne.
カムイノミ・アン ヒ タ ネノ ア・カㇻ カ キ、 オラ、 オウセ イペ ネ ア・エ カ キ ルウェ ネ。
神に供したり、ごはんがわりにもよく食べました。
Kaj oni oferas ĝin por diaĵo, ofte, manĝas ĝin anstataŭ rizaĵo.
Paykar an wa kamuynomi=an kor, sikerpekina eyamno a=e p ne ruwe ne.
パイカㇻ アン ワ カムイノミ・アン コㇿ、 シケㇾペキナ エヤㇺノ ア・エ ㇷ゚ ネ ルウェ ネ。
春のカムイノミに供える貴重な食べ物でした。
Ĝi estas grava manĝaĵo oferita kiam oni preĝas al la aina diaĵo "kamuy" en
pritempo.
Kamuy a=rayke kor, poro su ani sikerpekina a=suwe wa, pirka patci or a=omare wa, kamuyrataskep ne a=kar híne, ani kamuynomi=an. imakake ta, hoskino okkayo utar e wa, osi menoko utar e p ne ruwe ne.
カムイ ア・ライケ コㇿ、 ポロ ス アニ シケㇾペキナ ア・スウェ ワ、 ピㇼカ パッチ オㇿ ア・オマレ ワ、 カムイラタㇱケㇷ゚ ネ ア・カㇻ ヒネ、 アニ カムイノミ・アン。 イマカケ タ、 ホㇱキノ オッカヨ ウタㇻ エ ワ、 オシ メノコ ウタㇻ エ ㇷ゚ ネ ルウェ ネ。
熊をとってきた時は、大きななべにシケレぺキナを炊いて立派なパッチに入れて、カムイラタシケップとして神に供してから、男たちが食べ、その後女たちが食べました。
『聞き書 アイヌの食事』 1992年 (社)農山漁村文化協会 p.59-60, p.41
Kiam oni kaptas urson, boilgas 'sikerpekina' en kaldrono, enmetas ĝin en bona
poto, kaj oferas ĝin por diaĵo kiel 'kamuyrataskep', tio estas miksa kuiraĵo
kun ursa viando. Tiam unue viroj manĝas ĝin, sekve virinoj manĝas ĝin.
Poynay (Urakawa) or ta anakne, paykar an kor sikerpekina iyotta poronno a=kar pene ruwe
ne.
ポイナイ (浦河) オッタ アナㇰネ、 パイカㇻ アン コㇿ シケㇾペキナ イヨッタ ポロンノ ア・カㇻ ペネ ルウェ ネ。
浦河地方では、春先に最も多くとれる植物です。
En Poynay (Urakawa), en komenco de printempo ĝi estas la plej multa planto,
kiun oni kolektas.
Aynu sikerpekina e kuni epakasnu kamuy anak, kimunkamuy ne yak a=ye.
アイヌ シケㇾペキナ エ クニ エパカㇱヌ カムイ アナㇰ、 キムンカムイ ネ ヤㇰ ア・イェ。
ヒメザゼンソウを食べることを人間に教えたのは、ヒグマの神と言われています。
Oni diras, ke la aina ursa diaĵo "kimunkamuy" instruas homon
pri manĝi hemezazensô.
Paykar an kor, néwaanpe pewrep a=ére ka ki ruwe ne.
パイカㇻ アン コㇿ、 ネワアンペ ペウレㇷ゚ ア・エレ カ キ ルウェ ネ。
春先には、小熊を飼育するのに飼料としています。
『聞き書 アイヌの食事』 1992年 (社)農山漁村文化協会 p.91-92
En komenco de pritempo, ĝi estas furaĝo por bredi urseto.