エント (ナギナタコウジュ)
(アイヌ語)
ento
エント
(エスペラント)
Elsholtzia ciliata [latene], naginatakôzyu [japane]
エント(ナギナタコウジュ)は、匂いが強いので、病の神がいやがると言われています。
(アイヌ語)
ento hura ruy pe ne kusu, payoka-kamuy emaka sekor a=ye.
エント フラ ルイ ペ ネ クス、 パヨカカムイ エマカ セコロ アイェ。
(エスペラント)
La ordono de la sovaĝherbo "ento" estas forta. Pro tio la ainaj popoloj
daras, ke la aina dio de malsano malŝatas ĝin.
別の名は、セタエントやセタントとも言います。
(アイヌ語)
oya rehe anak, setaento neya setanto sekor a=ye.
オヤ レヘ アナク、 セタエント ネヤ セタント セコロ アイェ。
(エスペラント)
Ĝiaj aliaj nomoj estas aŭ "setaento" aŭ "setanto".
川上まつ子さんは、次のように言いました:「何でもサヨさエント入れたり、キキンニ入れたりして食べるのが好きであったんだべね。わしらの 口には、あんまり好きでなくてくさい物、くさい物っていえば、おっかあホったり怒ったり、こういうの食べてれば病気しないんだっていったもんだけど。」
(アイヌ語)
Kawakami Matuko katkemat ene hawean i; "nep ne yakka sayo or ento a=omare
ka ki, kikinni a=omare ka ki wa, a=e ruwe ne. hura ruy pe kusu k=e emaka
sekor ku=ye kor, ku=kor hapo mina ka iruska ka ki kor, tanpe e=e yak somo
e=siyeye p ne sekor hawean".
川上まつ子 カッケマッ エネ ハウェアン イ; "ネプ ネ ヤッカ サヨ オロ
エント アオマレ カ キ、 キキンニ アオマレ カ キ ワ、 アエ ルウェ
ネ。 フラ ルイ ペ クス ケ エマカ セコロ クイェ コロ、 クコロ ハポ ミナ
カ イルシカ カ キ コロ、 タンペ エエ ヤク ソモ エシイェイェ プ ネ セコロ
ハウェアン。"
(エスペラント)
S-ino KAWAI Matuko diris jene; "Oni enmetis aŭ ento-n aŭ kikin'ni-on
en la kaĉo kaj manĝas ilin. La odoro estas forta, tial mi diris, ke al
mi malplaĉas manĝi tion, tiel mia patrino ridis kaj koleris kaj diris,
ke se vi manĝas tion, vi ne malsaniĝas.
中本ムツ子さんは、次のように言いました:「頭が痛くなると、母はナギナタコウジュを取りに外に行きました。あかゆの中に入れてさじで食べさせてくれました。」
(アイヌ語)
Nakamoto Mutuko katkemat ene hawean hi; "ku=sapaha arka kor ku=kor
totto satanto kar kusu soy ta arpa. sayo or setanto omare wa pon kasup
ani en=ere."
中本ムツ子 カッケマッ エネ ハウェアン ヒ; "クサパハ アラカ コロ
クコロ トット サタント カラ クス ソイ タ アラパ。 サヨ オロ セタント
オマレ ワ ポン カスプ アニ エネレ。"
(エスペラント)
S-ino NAKAMOTO Mucuko diris jene; "Kiam mia kapo doloras, mia patrino
iras kolekti setanto-n. Ŝi enmetas setanto-n en la kaĉo kaj manĝigas
tion al mi per kulero."
「知里真志保の分類アイヌ語辞典」には、こう書かれています:
(アイヌ語)
"Tiri-Masiho-no-bunrui-aynu-go-ziten" kampi ka ta, ene a=nuye hi;
"知里真志保の分類アイヌ語辞典" カンピ カ タ、 エネ アヌイェ ヒ;
(エスペラント)
"ĈIRI-Maŝiho-no-bunrui-aynu-go-ĝiten (Klasifikita vortaro de aina
lingvo de ĈIRI Maŝiho)" skribas jene;
「莖(くき)葉は、多量に採取して、陰干しにして、お茶のようにして飲みました。風邪にかかった時も、これを煎じて飲みました。」
(アイヌ語)
"ento poronno a=kar wa, a=satke wa a=popte wa a=ku ruwe ne. omkekar=an
hi ta ka neno iki=an ruwe ne".
"エント ポロンノ アカラ ワ、 アサッケ ワ アポプテ ワ アク
ルウェ ネ。 オムケカラン ヒ タ カ ネノ イキアン ルウェ ネ。"
(エスペラント)
"Oni kolektas multa da ento-n kaj sekigas en la ombro kaj trikas tion
kiel teo. Kiam oni malvarmumas, oni infuzas kaj trinkas ĝin."
青木愛子さんは、次のように言いました:「サタエントを水から煮立て、その蒸気を吸わせます。この時、鍋を下ろして、その鍋の上に顔をもっ ていき、蒸気を吸います。頭から毛布か何かをすっぽりかぶせると蒸気はヲげず、患者は全身から汗をかいて、風邪が抜けます。この治療の時、セタエントの煮 汁を飲んでも発汗します。この蒸気を吸う方法をヤイスマウカラ(yay-su-maw-kar)と言います。」
(アイヌ語)
Aoki Aiko katkemat ene hawean i; "wakka or setaento a=omare wa a=popte
wa, usey mawe a=seru ruwe ne. siyeye kur sapaha un môhu ka nep ka a=kamure
kor, pirkano seru wa poppetaasin kusu, omke pirka ruwe ne. uwehe a=ku yakka
poppetaasin=an ruwe ne. ene iki=an hi yaymawkar ne sekor a=ye p ne ruwe
ne".
青木愛子 カッケマッ エネ ハウェアン イ; "ワッカ オロ セタエント
アオマレ ワ アポプテ ワ、 ウセイ マウェ アセル ルウェ ネ。 シイェイェ
クル サパハ ウン モフ カ ネプ カ アカムレ コロ、 ピリカノ セル ワ ポッペタアシン
クス、 オムケ ピリカ ルウェ ネ。 ウウェヘ アク ヤッカ ポッペタアシナン
ルウェ ネ。 エネ イキアン ヒ ヤイマウカラ ネ セコロ アイェ プ ネ ルウェ
ネ。"
(エスペラント)
S-ino AOKI Aiko diris jene; "Oni enmetas setanto-n en akvo kaj infuzas,
sekve enspiras ĝian vaporon. Oni metas kovrilon sur la kapo de malsanulo,
tial la malsanulo povas enspiri ĝin bone, sekve li ŝvitas kaj resaniĝas
de malvarmumo. Kiam oni trinkas la akvon, oni ŝvitas. Oni nomas la manieron
"yaysumawkar".
エントは、日本、アジア、ロシア、ヨーロッパに生えています。山に生えたり、道ばたに生えます。
(アイヌ語)
ento anak Nippon, Azia, Rosia, Yôroppa or us pe ne. kim ta neya ru
taksam ta neya an pe ne ruwe ne.
エント アナク 日本、 アジア、 ロシア、 ヨーロッパ オロ ウシ ペ ネ。
キム タ ネヤ ル タクサム タ ネヤ アン ペ ネ ルウェ ネ。
(エスペラント)
"ento" elkresk en Japanio, Azio, Ruso kaj Eŭropo. Troviĝas en monto
aŭ vojo.
30cmから60cmほどになり、秋には花穂(かすい)がなります。
(アイヌ語)
30cm wano 60cm pakno na wa, sircuk kor pusi an ruwe ne.
30cm ワノ 60cm パクノ ナ ワ、 シリチュク コロ プシ アン ルウェ
ネ。
(エスペラント)
Ĝi elkreskas de 30cm ĝis ĉirkaŭ 60cm, en aŭtuno la semo aperas.
花穂(かすい)はナギナタのようなので、日本ではナギナタコウジュ(シソ科)という名前です。
(アイヌ語)
pusi anak naginata koraci an kusu, sisam or ta naginatakôzyu (siso-ka)
sekor re an.
プシ アナク ナギナタ コラチ アン クス、 シサム オロ タ ナギナタコウジュ
(シソ科) セコロ レ アン。
(エスペラント)
La semo estas simila al naginatakôĵu (japanan glavlanco), tial en
Japanio oni nomas ĝin naginatakôĵu (la familio perilo).
エントは、「Elsholtzia ciliata」という学名です。「ciliata」は、緑毛のあるものという意味です。
(アイヌ語)
ento anak "Elsholtzia ciliata" sekor gakumai an. "ciliata" itak'ipe
anak, "siwnin numa us pe" ne.
エント アナク "Elsholtzia ciliata" セコロ 学名 アン。 "ciliata"
イタクイペ アナク、 "シウニン ヌマ ウシ ペ" ネ。
(エスペラント)
La scienca nomo de "ento" estas "Elsholtzia ciliata" latine. La "ciliata"
signifas "aĵo kun verdan lanugon".
漢方では、香薷(こうじゅ)と呼ばれます。
(アイヌ語)
konpô or ta, "kôzyu" sekor a=ye p ne.
漢方 オロ タ、 "香薷" セコロ アイェ プ ネ。
(エスペラント)
En kanpô (ĉina medicino) oni nomas ĝin "kôĵu".
エントには、少しの精油を含んでいます。
(アイヌ語)
ento or ponno seiyu o ruwe ne.
エント オロ ポンノ 精油 オ ルウェ ネ。
(エスペラント)
"ento" enhavas malmulte da esencoleojn.
精油は強い匂いの元です。
(アイヌ語)
seiyu an kusu hura ruy pe ne.
精油 アン クス フラ ルイ ペ ネ。
(エスペラント)
La esencoleoj estas la kaŭzo de la forta odoro.
精油成分には、エルショルチアケトンやナギナタケトンなどがあります。
(アイヌ語)
seiyu or ta Erusyorutiaketon neya Naginataketon neya, usa okay pe an.
精油 オロ タ エルショルチアケトン ネヤ ナギナタケトン ネヤ、 ウサ
オカイ ペ アン。
(エスペラント)
En la esencoleo troviĝas elsholtziaketon kaj naginataketon kaj aliaj.
精油は、血行を盛んにし、発汗を促進し、解熱する作用があると言われています。
(アイヌ語)
seiyu ani kekkô a=pirkare wa, poronno poppetaasin=an wa, omkekar a=pirkare
p ne sekor a=ye ruwe ne.
精油 アニ 血行 アピリカレ ワ、 ポロンノ ポッペタアシナン ワ、
オムケカラ アピリカレ プ ネ セコロ アイェ ルウェ ネ。
(エスペラント)
Oni diras, ke la esencoleo agas kiel pli bone sangocirkuli, ŝviti
kaj senfebrigi.